取扱中物件 / 再生・施工実績

【再生・施工】人気のエリアだが検査済証がなく買取保証にて買取った事例

人気の沿線人気の駅から徒歩圏の分譲地の一戸建て


今は判りませんが、少し前までは人気が有りすぎて混雑率ワーストワンの不名誉な称号まで得る事になった沿線の急行停車駅。高度経済成長と共に都心から西へ西へと沿線が伸び、それに併せて住宅地として開発された街並みは道路も広く閑静な住宅地が多く形成されています。これらの住宅地は主に丘陵地に造られているため土地は道路よりも高いことが多く、それがまた街並みの特徴的な雰囲気となっています。


どの街でもそうですが建物を建てる時には建築基準法によって様々な制限が有り、許可及び検査が必要で土地にも法律による制限があります。現在は法令順守の考えが強くコンプライアンスの名の元に様々な制限や抑止を守ろうとすることが前提ですが、かつては法令を順守するという意識が低かったのか、特に建築基準法などの法律では「建物を建てる時には建築確認申請を行い許可を得る、許可を得て建てた建築物は確認申請通りに建っていたかを検査し、申請通りであれば検査済証が発行される」という今では当たり前の一連のプロセスが守られておらず、特に最後の検査済証を取得していないことは古い建物においてはよくあることです。

何故かと言えば建築確認取得後施主が間取りを少し変更したいと言った場合、それに応じ確認申請の変更届けを出さなければ検査済証は取得できません。工事は遅れるし費用も余分にかかってしまうならば、検査済証を取らない選択によって工事は完了できます。そのような理由からか、この物件も検査済証は有りませんでした。建物の検査済証が無いだけであれば古屋を解体すれば良いのでさほど問題では無いのですが、この物件の敷地は道路よりも高いことで宅地造成が行われており、造成した宅地には地下車庫が有りました。ある一定規模の宅地を造成する場合この住宅地エリアは土地の高低差が大きい為、建築基準法とは別に宅地造成等規制法(現在は通称盛土等規制法)による工事の申請や許可、そして検査、検査済証取得が必要になります。ところが横浜市役所で調査をすると宅地造成工事の検査済証が無いとなっている。しかも何故か地下車庫は宅地造成時に造られているにも係わらず、建築物としての申請扱いになっている。このような物件の売却依頼を受けることとなりました。理由としては単身の高齢女性が住むには広くなりすぎたことや、防犯性などを考慮してマンションへの住み替えでした。既にマンションは沿線随一の電鉄系不動産仲介業者にて購入済みで、今になって考えると今までの難しい話を売主様は理解されていましたので、他社でも物件を売ってみたが難が多く売れなかったのだろうなどと想像できます。


とにかく売却の依頼を受け、しかも売れなかった場合には弊社にて買い取りを行う「買取保証」を付けて販売をスタートしました。当初は建物を壊してしまうと、宅地造成の検査済証が無いため新築する際には様々な弊害が想定できました。建物も古いわりにはとても綺麗に使われており、柱などの躯体はしっかりしているいうことで中古戸建として販売をしておりましたが、やはり問題については告知義務が有るためなかなか売れません。そうこうしている間に買取保証の期日が来て弊社が買い取ることとなりました。その後も試行錯誤しているなかで幸いしたのが、売主様は新築当時の建築確認済証など設計図書と言われる書類をしっかりお持ちでした。そのなかで「地下車庫について建築物としての申請を行うが、実際には宅地造成工事の時に行う」という内容の覚書が添付されており、何度か横浜市役所へ通いいろいろと調べていたところ宅地造成工事の検査済証は取得されていました。驚くことに役所が資料をデジタル化等で新しく移行する際に転載漏れしていたのです。この情報が有るか無いかだけでもかなり事情が変わりますので、結構大きなミスです。ただ役所というところは責任を負わない機関(過去の話だし分らないと言われる)ですので、とにかく検査済証の証明番号を発行してもらいました。


宅地の検査済証は取得できましたが、地下車庫については建築物として検査済証は取得できていない。その場合地下車庫の上に建築物を乗せないことで新しい建築物の許可を得ることができます。元々この地域は低層住居専用地域ですので、建ぺい率の制限が強く建物を敷地いっぱいに建てることはできません。その為弊社では買取後古屋を解体し、造成された擁壁を補修及び特殊塗装等を行い仕上げて建築条件付き売地として再販しました。結果的には自分の好きな建築会社で建物を建てたいというお客様が、建築条件を外して欲しいというご要望に応じて土地として売却し、今では立派な一戸建てが建っています。


この物件では現行と当初の考え方や法律が違っていたとしても、基本は現行に合わせなければならないことでの問題解決においてとても勉強になりました。このうような物件は世の中に数えきれないほど有ります。それをどのように活かしていけるかは、取り扱う不動産業者次第かなと思います。また行政の仕事は結構適当だということも勉強になりました。